やはり円安基調は変わらないのか

米国の年3回の利下げ観測が急速にしぼんできた。現時点では年2回がメインシナリオになり、スワップ市場で織り込まれている予想利下げ幅も60bpになっている。

CFTCのデータを見ても先週更に先物のショートが追加されており、CTAもショートに傾いている。ここまで来ると、チキンゲームで保ってきたロングポジションも限界を迎えるかもしれない。さらなる金利上昇があれば、一気にポジションをカバーしようとする動きによってさらなる金利上昇が起きる可能性もある。

こうなると、なかなか為替も円高には振れにくくなる。しばらくは円安基調が継続する可能性が高くなってきたが、後は介入と日銀の利上げに注目がシフトする。介入ともなれば短期の米国債を売ることも想定されるが、これは米金利の更なる上昇圧力となる。

堅調な雇用統計、原油やゴールドの価格上昇もありインフレを懸念する声が強くなってきたのも背景にあるだろうから、今晩のCPIには大きな注目が集まる。ここで予想を上回れば、これまでの10年4~4.5%のレンジをブレイクし、さらなる金利上昇が起きる可能性がある。一方で、足下ではショートに傾きすぎという意見もあり、CPIの結果次第ではショートスクイーズが起きる可能性も否定できない。

日本でも物価の上昇基調が確認されつつあり、連合が先週公表した平均賃上げ率は5.24%と、33年ぶりの高水準となった。植田総裁も金融緩和の縮小に言及し始めている。円安に対しても、「金融政策の対応をもちろん考える可能性がある」と述べられている。4月の利上げの可能性は低いが、ある程度上げていかないと、円安に歯止めがかからなくなるかもしれない。