金融におけるテクノロジー変化

MicrosoftがBingのプレゼンテーションを行ったが、久しぶりに時代の変化を感じさせるものだった。これならデフォルトブラウザーを変えようかと思ったくらいだ。

ここまでのことができるのであれば、金融にももっと変革が起きて良いだろう。最近ではAMM(Automated market-making)が話題になっているが、マーケットメークを人手を介さずに自動に行うということは、MicrosoftのYutubeをみると極めて自然のことのように思えてしまう。これができると、証券会社やブローカーなどの仲介は必要なくなり、機械が自動的に売り手と買い手を結び付ける。そしてブロックチェーン上でDVP決済が行われるので、オペレーションの手間もかからない。決済からクリアリング、取引報告までが一気通貫で可能になる。

特に為替取引においてこの技術が最も利用しやすいと思われるが、そうすると為替の取引コストはほぼゼロに近づいていくだろう。現在日本の銀行でドルを円に換えると約1%程度取られてしまうこともあるが、これがゼロになれば、個人の利便性と銀行の収益性に影響が出るだろう。海外旅行などのために空港で両替をするというのも過去の産物になるかもしれない。

政府サイドでもデジタル通貨を研究する国が多くなっており、米国もシンガポールと共同調査を行っている。日本の話があまり出てこないのが淋しい限りである。そもそもWeb上の情報をもとに情報処理を行うということは、英語が標準言語になっているということである。日本語が母国語のネットユーザーは全体の3%を下回り、Web上の情報量としても3.6%しか占めていない。シンガポールやアジア各国では英語を問題なく使いこなす若手が多いため、ますますこの分野における日本との差が広がっている。

アルゴ取引やカスタマーサポートなど、海外では急速な変化が起きており、日本の金融が少し心配になってきた。銀行のIT予算も海外では急速に膨らんでおり、人を減らしてITにリソースを振り向けている。日本でも一部スタートアップで先進的な試みをするところが増えてきているので、何とか世界の流れに遅れないようにしたいものである。