デフォルト通知はメールで送れないのか

Close out noticeをEmailで送れないかという検討が、昨年2022年9月にISDAで行われたと報じられている。特にコロナショック時に通知を郵送しようにもオフィスに誰もいないという問題があった時に、なぜEmailが使えないんだという素朴な疑問が持ち上がった。FAXは認められているのだが、そもそもFaxを使わない会社が増えてきており、在宅勤務ではこれを受け取るのも難しい。一応イメージとして受けとってEmailで送る機能もあるので、これを使っているところは問題ないが、最近では、そもそもFaxがどこにあるかを認識していない人も多い。

ISDAでは、クローズアウト関係の通知は、郵送かFaxと定められている。確かに1992年版、2002年版ISDAが作られたころは、まだFaxが普通に使われていたのだろうが、それからかなり時代が変わってしまった。以前は、金融機関の社員が通知を持参することもあったが、実は危険なのではないかという意見があったり、戦争が起きている国などはそもそも届くかどうかわからないという問題もある。ケイマン諸島などに住所だけあって、実際には誰もいないといったケースもあった。他にも、ISDAマスター契約の住所などは頻繁に更新されていないため、既にオフィスがなかったということも起きる。この場合は、とにかくそのオフィスがあったと思われる空き地に書類を置いてきたりといったことが本当に行われていた。

こう考えると通知をEmailで送れるようにするというのは、極めて自然なことのように思えるのだが、いざ移行しようとすると様々な問題が起きる。メールを見落とした場合、サーバーエラーで送れなかった場合、メールがブロックされていた場合、迷惑メールと判断されてしまった場合、ハッキングがあった場合、停電があった場合などにどうなるのかといった議論は尽きない。何をもって受け取ったという証拠になるのかという問題もある。

ここまでテクノロジーが進歩し、電子的コミュニケーションや送金が可能になりつつある中、こうした正式な通信手段に革新が起きないのは不思議である。そもそもこうした通知を送る回数が滅多にないことから、何も変化が起きていないのだろう。書留、受取確認の方法さえ確率してしまえば技術的に難しい問題ではないように思う。こうした受信確認サービスを行う会社を作れば、結構ニーズはあるのではないか。技術的にもそれほど難しいこととは思えない。そしてそれが法的に認められた通信手段とみなされれば、こうした郵送、Fax問題も解決する。とは言え、メールで受領確認の返信があった場合は法的に有効とするといった簡単な方法でも対応できてしまう可能性もある。

いずれにしても、郵送とFaxのみに頼った方法というのは早急に何とかしたいところである。日本国内だけであればそう大きな問題にならないが、どこかの島や、外国の片田舎のようなところに通知を送るのはそれなりに困難である。Faxもあと10年もすれば持っているところが少なくなっていくのではないだろうか。