2023年3月期から国内で実施となるバーゼルIIIの規制方針が公表され、コメント期間も終わったことから、6月のターゲットを前に告示改正案のパブコメ募集という形になる。バーゼルIIIと言われて久しいがようやく完全実施が近づいてきた。
国際合意上は、OTCデリバティブ取引の想定元本1000億ユーロ以下の金融機関は、CVAリスクについて簡便法の利用が可能だが、日本では国際基準行は簡便法は認められない。国内基準行は、CVAリスクの対象となるデリバティブ取引の元本合計が10兆円以下であれば簡便法が使える。少し古いもので基準が完全に一致しているかよく分からないが、以前公表された1兆円リスト上は40社しかなかった。10兆円というとかなりの大きさなのでほとんどの国内基準行は簡便法が使えるようになるように思う。資本賦課の水準はデリバティブ取引の信用リスク・アセットの額に12%を乗じて得た額となっている。
その他注目されるのばバンキング勘定とトレーディング勘定の厳格な分類を告示に規定する予定というコメントだ。これが従来より厳しくなるかどうかに注目が集まる。
そのほか株式や資本制商品のリスクウェイトの扱いについても記載がある。非上場株式のうち250%のリスクウェイトが適用されるものの範囲についてQ&Aで明確化が図られる予定だ。持ち合い株の扱いについてのリスクウェイトが焦点になろう。