以前当初証拠金の最適化などで発生した金利スワップをクリアリング規制から免除するというEUの決定があったので、これができるとどの程度のインパクトがあるのかSIMM v2.8に従ってExcelで簡易計算してみる。
通常は取引先Aにリスクが集中していてIMが多いときに、リスクを取引先Bにリスクを移転させると、トータルのIMが削減できる。この時リスク移転に通常のIRSを使うと清算集中義務があるため、CCPで清算しなければならなくなる。そうなると、AからBへのリスク移転はできないため、Swaptionを使ってこれを行う。Buy Payer + Sell Receiverのシンセティックスワップを使うことが多いが、1m10yのSwaptionを例にSIMMのIMを想定元本に対する%で計算してみる。

このようにSwaptionを組み合わせた取引は、Sensitivityを計算するとVolのリスクが出てくるのだが、Strikeが同じATMのSwaptionだと、SIMMの計算上VolやCurvatureがオフセットしてゼロになり、デルタだけのリスクになり、IMはIRSと同じになる。つまり、同じ取引先とPayer+Receiverをブックすれば、IRSを使ったのと同じようにリスクが動かせる。
しかし、当然その他にボラティリティのリスクも同時に移すことも多く、また、PayerとReceiverをブックする取引先が異なる場合もあるため、この時はSIMM IMの削減幅が小さくなってしまう。それを確認するためにPayerとReceiverのSIMM IMを別々に計算すると、上のようになる。ちなみにこれは自分が担保をコールする方向での計算なので、Postする場合は結果が異なる。SIMMの計算上、Swaptionを買うときはCurvature分のIMを拠出する必要はないが、徴求する必要はある。Swaptionを売るときは逆になる。
まずPayerを買った方は相手に対してCurvature分のIMを徴求しなければならないのでIMが大きくなる。Postする方はこれがないため、拠出額は2%ちょっとになる。もちろん1m10yだからCurvatureが大きかったのだが、これが1y10yのようにExpiryまでの期間が長くなればCurvature IMは少なくなる。10y10yとかになると、CurvatureからのIMはほとんどゼロに近づく。しかし金利の動きにもよるが、その分Vol IMが増えてくる。
Receiverの方は売りでCallサイドなのでCurvature IMがない。つまり、Payerの買いを取引先A、Receiverの売りを取引先Bとブックした場合は、4%+3%で合計で7%のIMをコールすることになる。IRSだと5%弱なので、IMが40%増になっている。
まとめると、クリアリング規制免除が認められれば、7%の担保が5%に減る。ただし、PayerとReceiverを同じ取引先と行っていればそこまで変化はない。どの程度こうした取引先のSplitがあるかわからないが、最小で0、最大で40%の削減が見込まれるので、ざっくり10-20%のIM削減効果と言えるのだろう。それよりも、2つのSwaptionを一つのIRSに置き換えられるというオペレーション上のメリットが大きいのだろう。