今年は年末の市場混乱は起きるか

11月最終週に入り、年末の流動性が気になる時期になってきた。昨年は米銀の株価上昇がG-SIBスコアの上昇を招いたことから、米銀中心に各種取引を控える動きが出て、流動性が逼迫した。今年も年初に比べると米銀の株価は2-4割程度上昇しており、デリバティブの取引量も増えているため、ある程度の影響が予想される。

ただ、昨年閾値ぎりぎりのところで削減努力をしていたのに比べると、ある程度スコアの上昇が予想されていたため、既に上のバケットへの資本増を覚悟しているところもあると思われるので、昨年のようにパニック的に取引を抑える動きにはならないかもしれない。

それでも米国のレポレートは高い水準で推移しており、Fedのターゲットの上限を超えることも多くなっている。10月末などは、GCレートが4.25%まで急上昇し、銀行がバランスシート削減を進めていると噂された。こうなると一部日本のドル円通貨スワップにも影響が出てくることが多いので、注意が必要である。

今年は特にヘッジファンドが米国債の現物と先物のベーシス取引を行う際のレポファンディングが増えているのが、この流動性逼迫に拍車をかけているようだ。前回流動性逼迫が起きた2019年の倍以上のレポ取引が行われているとも報じられている。当然これには、ある程度米国財務省の国債発行と政府閉鎖が関係している。米国の財政悪化による国債発行増も影響する。財政赤字が$1.8tnとのことだから、毎月$100bn超の国債が市場に流れ込んでくる計算になる。

レポが逼迫すると、株式やその他資産の解消を引き起こしマーケットを混乱させることがあるので、注意が必要である。政府の緊急レポスキームを使えば良いのだろうが、銀行としては、あまり取りたくない手段の一つとなってしまっている。引き続き米国短期市場には注目していきたい。