1月にCCPの証拠金の透明性向上を目的としたベストプラクティスがIOSCOから出されている。突然予期せざるマージンコールが発生して資金不足に陥るところがないよう、こうした情報開示は必要不可欠である。EUでは証拠金のシミュレーションツールにバイサイドもアクセスできることを求めているが、今回のペーパーでは、クリアリングブローカーへのアクセスを求めた上で、クライアントにも開示されればなお望ましいという書き方になっており、こちらの方が現実的な対応となっている。
この証拠金シミュレーションツールはCCPのストレスシナリオやIMの各要素(ベースIM、流動性アドオンなど)の計算も含まれている。モデルの詳細、プロシクリカリティ防止策、バックテストなど、かなり詳細な開示を求めている。今後社内でIMモデルやその他のモデルを作成するときのチェックリストとしても使えるだろう。また、IMのモデルなど、日本では海外ほどバックテストについての規制がないが、海外の傾向に併せてもう少しバックテストも重視しておいた方が良いだろう。
Risk.netでも、各国当局間で、流動性を提供できる参加者を増やし、決済インフラへの参加要件を緩和し、ネッティング効率を高めたりして、取引コストを下げるべく努力していると書かれている。今回のペーパーも含めて、各国当局間で、マージンコールによる流動性逼迫への対応策が色々と協議されているように思える。そしてNBFIなどに対する規制要件の厳格化も進んでいるので、バイサイドも含めた各市場参加者にこうした分析の高度化を求めているようだ。
一方で、このベストプラクティスの話に絡めてIOSCOの高官がサイバーリスクにも言及していたのが興味深い。次の危機はカウンターパーティーリスクやマーケットリスクから発生するのではなく、サイバーリスクから発生するだろうという趣旨の発言があった。確かに最近水面下でもサイバーリスクが高まっているのが伺われ、今後大きな事故が起きたとしても不思議ではない。海外金融機関でもサイバー対策にかなりの予算を割り当て始めているが、日本でも今後経営課題の一つとなっていくのだろう。