円金利スワップの取引量増加が著しい。JSCCの統計情報を見ると、昨年ほぼ倍に増えた取引量が、今年更に倍近くになるペースで取引されている。2024年については、8月までのペースが続くとしてAnnualizeしてみると以下のようになる。ものすごい伸び率である。Durationではなく元本であり、おそらく短期の取引が伸びていることを考えると、リスク量の伸びはここまでではないだろうが、それでも目を引くグラフである。
マイナス金利政策とYCCの終了によって金利が動く世界になったからという理由もあるが、それにしても不思議なくらいの増加であり、ちょっと実感と合わない。
円金利スワップと言えば、2010年頃は全通貨の金利スワップの6%近くを占めていたのだが、最近は2%程度に減っており、英、オーストラリアの後塵を拝していた。果たしてこれで円金利スワップの復活となるのだろうか。
JSCCで清算された取引だけだと偏るかもしれないので、金融庁の店頭デリバティブ取引情報も見てみる。こちらは日本の決算期である3月末において金融商品取引業者等から報告を受けているデータなので、時期と対象会社が少し異なるが、概ねのトレンドはつかめる。2024年分はまだ公表されていないので2023年までだが、これを見ると、先ほどのグラフほどには2023年も伸びていない。こちらも単位は兆円である。
金商業者等なので、外資系の日本法人は含まれているのだろうが、海外エンティティ経由の取引はおそらく入っていない。また平均取引残高3000億円未満の市場参加者のデータも含まれていない。ただ、金融庁のデータも90%はCCPとの取引なので、ここまで異なるのも違和感がある。そうするとJSCCはクライアントクリアリングが急速に伸びているのだろうか。
確かに2024年は急速に伸びているが、2023年は前年の倍近くにはなっているものの、実際の取引量で見ると100兆円に満たない増加である。
JSCCのデータはAとBの取引を2件としてカウントするだろうが、金融庁の取引情報はこのダブルカウントを除いていたか定かではない。時間のある時に調べてみたい。
2024/10/3追記:JSCCの統計データは片道だったようです。ただし来月11月から変更されるとアナウンスされています。
いずれにしても2023年は円金利スワップの取引量がかなり増加したが、今年は更にその増加が加速しているということは言えそうだ。この動きが続くのかどうか注目していきたい。