通貨スワップの取引量が増えている

EURUSDとGBPUSDの通貨スワップの取引量が過去最高となったとClarusのブログで紹介されている。SDRに報告されたデータとのことなので基本的にはUS Personの報告データとなる。SDRの場合想定元本がそのまま報告されているわけではなく、$250mm超のように一定の水準以上という報告の仕方になる。あまりに大きな取引がリアルタイムレポーティングとして報告されると、誰が取引したかが特定されてしまったり、マーケットへのインパクトが大きくなってしまうからだ。

興味深いことに、巨額の取引が増えているという訳ではなく、細かいトレードが増えているようだ。つまり、あまり大きなサイズで取引をすることができないので、細かくトレードをしているという可能性がある。市場のボラティリティが大きくなり、SACCRへの移行もあったため、大手銀行がサイズの大きな取引を敬遠した可能性がある。

ただし、ドル円の通貨スワップについては特に取引量が増えていないようだ。ドル債の発行が少ないので、関連する通貨スワップが出ていないというのもあるが、それほど大きなインパクトがあるとは思えない。円安のため、ドル資産に投資するために通貨スワップを使う投資家が少ないのかもしれない。その割に最近のドル円ベーシスの動きは激しい。全体としては取引量が少ないが、たまに大きなスワップが行われるためにマーケットが動いているのだろうか。しばらくデータをモニタリングしてみたい。

証拠金規制IMビックバン

証拠金規制のIMビックバンであるフェーズ6の9/1が近づいてきた。コロナショックやウクライナ情勢による市場変動から、フェーズ6対象となる会社数が増えているようだ。中国のネッティングと担保が有効になりそうということも、対象会社の増加につながっている。中国についてはまだオピニオンが出ておらず、ネッティングは問題ないものの、担保のEnforcabilityについては未だ不透明という見方がある。

IMの金額が$50mmを超えない場合はIM規制から免除されるが、それが本当に$50mmを超えないよう日々モニタリングをしていかなければならない。急速な市場変動によってボラティリティが上がれば、これが$50mmを超えてしまう可能性がある。ISDAの予想ではフェーズ5の300社に対し、フェーズ6の対象会社は775社とのことだ。

日本の証拠金規制は前々年の4月から前年の3月までの店頭デリバティブ取引の想定元本を見るが、米国規制などでは5月末に3か月平均でみる。米国利上げベースの加速や、コモディティ価格の急変同、急激な円安もあり、デリバティブの取引量は増加している。市場急変によって急にIM Thresholdを超えてしまう可能性もある。カストディアンのセットアップやIM授受のオペレーションを急に準備するのは難しいので、ある程度早めに対応を検討しておく必要があろう。