グリーンウォッシュが金融に与える影響

ドイツ銀行とその資産運用部門であるDWSがグリーンウォッシュ疑惑に関連した家宅捜索を受けた。ドイツ銀行の出資比率が80%近いことから株価も急落したが、金融業界ではかなり話題になっている。昨年から話題にはなっていたが、ここへきて業界の注目度が高まっている。以前もBNYメロンがESGファンドに関して誤解を招く表現を使って$1.5mmの罰金を科されていたが、今後はこうした動きを懸念して、金融機関サイドからGreenである、環境に優しいという表現が使われる機会が減っていくことになるだろう。

環境に優しい車、紙ストローの利用、再利用可能な衣料など、様々な環境配慮をうたった商品が登場し、いくつかの企業は、効果がそれほどないにもかかわらず消費者を欺いたとして当局から批判を浴びたが、金融機関にとっても同じ問題が起きている。

環境に配慮したというのは程度問題ではっきりした基準があるわけではない。しかし、Greenというだけで金融商品が売れてしまうと、今回のようなことが起きる。おそらく海外金融機関は、Greenと謳った金融商品の販売には慎重になるだろう。自らGreenと認定することはなくなり、第三者による厳密な審査が必要になる。

海外では直接制裁も可能なグリーンウォッシュ規制がある国が増えており、米国でも連邦取引委員会がグリーンウォッシュの疑いのある企業の摘発を行っている。金融商品に関しては、SECがESG投資に関する情報について目を光らせている。

今回ドイツ銀行の株価が急落し、経営陣の責任問題に発展したことを見ると、欧米での本件に対する意識が急速に高まっている。当然本邦でも、金融庁が第三者機関に環境債の発行手続きや調達資金の使い道についてお墨付きを与えるようなチェックを働かせようとしている。

これまではESG関連の投資商品のみに限った話かという印象もあったのだが、ESGと名の付く取引に関しては、債券や投信だけでなく、デリバティブ取引などについてもすべてチェックをするようになってきた。そのうち明確な基準作りが行われるのだろうが、過渡期にある現状では、過剰反応を引き起こす可能性があるので、触らぬ神に祟りなしという感じがする。