証拠金規制最終フェーズを来年に控え、LCHやEurexといったCCPにおけるNDFのクリアリングが増加している。特に取引が一方向になりがちなバイサイドにとっては、当初証拠金の負担増を避けるため、CCPにおいて清算するインセンティブがある。INR、KRW、TWDといったアジア通貨のクリアリングも増えているようだ。OTCでも証拠金が必要になれば、上場商品と何ら変わりがなくなるため、上場デリバティブへのシフトも進むかもしれない。
こうした通貨は当然アジアのバイサイドからの取引ニーズが大きいので、アジアの参加者のクリアリングシフトが起きている。日本でもEM通貨を扱う投資信託等はあるので、一定のクリアリングニーズはあるはずなのだが、どうも日本は担保拠出と担保オペレーションに対するアレルギーがあるのか、ほとんどクリアリングが使われていない。
個人的な印象だけなのかもしれないが、日本では当初証拠金、規制資本等の最適化を進めようという動きが鈍い。未だに効率性よりシェアを重視しているわけではないだろうが、ROEは依然低く、当初証拠金を減らそうという動きも鈍い。海外CCP、CLSなどの海外標準サービスの採用ペースも遅い。
最近ではあらゆる標準システムが、こうしたフローを中心に作られているので、海外で進む自動化、標準化の流れについていかないと、世界から取り残されてしまうのではないだろうか。外資系では、金融は完全にシステム産業化していると言われ、毎年莫大なシステム投資を続けている。商品に差がつけ難くなってきた今、サービスの差別化をシステム化で図ろうとしている。お金ばかりかければ良いという訳ではないので注意が必要だが、テクノロジーの重要性は今後の金融機関経営の最重要課題となっていくだろう。