バーゼル3本格施行延期の観測が強くなってきた

米国、欧州も延期のうわさが絶えないが、今般オーストラリアのAPRAからもIRRBB、FRTB、CVAフレームワークの導入の一年延期のアナウンスメントが出ている。一体国際公約とは何だったのだろうかとも思えるが、海外は結構こういった無邪気な延期が良く行われる。

バーゼルからはバーゼルIII進捗状況に関するレポートが出ているが、2023年1月が期限となっているものが多い。ただし、draft regulation not publishedというステータスになっている。

この流れからすると、自国だけが先行導入して不利益を被るのを避けようという動きが出てくるのが当然だと思われるので、一斉に延期という方向になるのだろうか。日本は比較的期限を守ろうとする方なのだが、ここまでになるとさすがにグローバルに歩調を合わせることになるのかもしれない。

アジアの金融ハブ

Wall Street Journalに香港のコロナ政策によって金融機関が拠点を移しているというニュースが出ている。ゼロコロナポリシーを取っていることから、入国者には、自費出費で、ホテルでの3週間隔離を義務付けているが、これに対して金融機関代表が制限緩和要求を出している。にもかかわらず、香港政府サイドはさらに制限を強化しようという勢いとのことだ。

ASIFMAのサーベイでは48%の会社が香港からオペレーションを移すと回答しているようだ。人を雇ったり引き止めたりするのも苦戦しているとのことだ。なかなか家族を呼べないというのも一つの理由とされている。欧米諸国はワクチン証明等による正常化を図っているが、アジアでは厳格な入国管理が続く。シンガポールも徐々に正常化に向けた動きが続いている。日本はその中間かもしれないが、新規ビザの発給は事実上止まっているとも聞く。

ここ最近の動きを見ていると、やはり香港から拠点を移そうという動きは今後も強くなっていくように思える。おそらくシンガポールが最強の候補になるのだろうが、日本を検討する意見も聞かれる。ただし、今回の金融課税の話でやはり日本の政策リスクを感じてしまった海外投資家は多かったようだ。

海外からすると、英語の問題を無視すれば、日本の労働力が優秀だというのは広く認識されている。しかも賃金がアジアでもかなり安い方になっているので、日本で拠点を作りたいというインセンティブは強い。解雇が難しいという点がネックだという意見も聞かれるが、この辺りの慣行を変えていけば、日本をアジアの拠点とし、それが日本の賃金や経済の発展を促す可能性もあると思うのだが。