レバレッジ比率規制緩和継続が危うくなってきた

昨年感染拡大を受けてレバレッジ比率規制緩和が行われたが、その期限がもうすぐ到来する。この期限延長が認められるかどうかにマーケットの関心が集まっており、もしこの時限措置が延長されなければ、マーケットインパクトも心配されている。

銀行トップからはこの期限延長を求める声が多く聞かれ、それがマーケットの安定につながるという主張がなされていた。個人的にもその通りだと思うが、世論的には銀行の主張に屈したくないという雰囲気があるのも理解できる。

やはり今回も銀行規制緩和反対はのエリザベスウォーレンが反対の声明を発している。この資本規制緩和の継続は、金融危機後に導入された厳格な規制のフレームワークをSubstantiallyに弱めるものだとコメントしている。

銀行にとってみれば米国債を保有するだけでレバレッジ比率の悪化を招くため、当然米国債を保有するインセンティブがなくなる。したがって、米国債の取引を避けるのは当然のことで、これによって米国債の流動性が悪化した。レバレッジ比率自体がリスクを増やすとは全く思えず、FEDがこれだけ流動性を供給し続ける中、それを銀行が吸収できないのは問題だと思うのだが、やはり銀行支援をすると政治的には望ましくないのだろう。

延期を求める議員も多数いるのだが、ウォーレンのような実力者が発言するとやはり影響は大きい。このような憶測によってマーケットは若干神経質になっているが、やはり規制緩和延長は難しいのかもしれない。日本の年度末に向けて米国金利市場においては更なる混乱が予想されるが、これだけ何度も流動性ショックが起きてもレバレッジ比率重視の傾向が変わらないということだと、もっと大きな流動性危機が必要なのかもしれない。

公表されている声明によると、銀行は感染拡大を規制をなし崩し的に緩和する「言い訳」として使っているという辛辣なコメントで批判している。なぜそこまでレバレッジ比率を重視して、その他のリスク管理手法を中止しないのか理解に苦しむところである。