LIBOR改革後の金利商品

米国では国債先物へのシフトが続いており、CMEの昨年のInterest Rate Futures Liquidity Updateの以下のグラフは業界でも注目を集めた。

グラフから分かるように現物の米国債の日中取引量はそれほど大きくは変わっていない。一方水色で示されている先物の取引量は急速に伸びており、現物に比した先物の割合は2018年には100%を超えた。つまり先物の方が現物より取引高が大きくなったということである。

日本国債でも似たような先物シフトが起きているのだろうが、おそらく100%を超えるところまでは行っていないものと思われる。ただし、海外投資家だけのフローを見ると、先物の方が圧倒的に取引量が多いのだろう。

CMEの分析にあるように、この先物取引量の急増は取引参加者の増加を伴っており、HFTなど高頻度に取引をする参加者のプレゼンスが高まっているものと思われる。

特に米国ではSLR(Supplemental Leverage Ratio)の影響によってバランスシート制約がかかったので、これが先物へのシフトを促したとしても不思議ではない。一時期米国債のフェイルの多さが問題になったが、先物は決済前に閉じることが多く、実際の受け渡しにFailは許されない。

金利を扱う商品の中では、おそらく現物と先物の取引量は、現状ほぼ同等で、金利スワップが若干少ないくらいだと思われる。そしてLIBOR改革によってこのバランスに変化が起きるかにも注目が集まる。流動性に難のあるOISへの移行が難しいのなら先物を使えばよいではないかとも思うが、SOFR先物も今一つ盛り上がっていない。とは言え、ヘッジ会計を適用するためにキャッシュフローを完全に合わせたい投資家より、金利のデルタをヘッジすればよいという投資家の多い海外では、先物も重要な選択肢のひとつになる可能性がある。

先物の利便性向上に努めてきたCMEの功績も大きいが、現状の規制の下では、日本においてもさらなる先物シフトが起きても良いのかもしれない。