IBORからの移行タイミング

IBORフォールバックプロトコルの批准が進み、一体いつからレートが変更されるのかと聞かれることが多くなってきた。

プロトコルの文言上はIndex Cessation Effective Dateからということになるのだが、これはIndex Cessation Event(LIBORがなくなるか、LIBORが指標性を失ったというアナウンスメント)の後になる。

このIndex Cessation Eventは客観的に判断できなくてはならなず、プロトコル上は細かく規定されているが、要は当局から何らかの公式なアナウンスがあった時ということになろう。

そしてその日(Index Cessation Effective Date)から、個々のLIBORがAdjusted RFR + Spread Adjustmentに変更される。

Adjusted SOFRは、例えば1か月USDLIBORだったら、オーバーナイトSOFRの30日間の後決め複利計算となる。スプレッド調整は、SOFR(日次複利)とLIBORの差の5年間の中央値で計算される。

本当は2営業日の調整とかテナー毎の調整等が入るので、もう少し複雑なのだが、おそらくトレーダーは、各LIBORのテナー毎に日々5年中央値をアップデートして、スプレッド調整がどこに収斂するかをチェックしているはずである。

5年間のうちかなりの部分が明らかになってきているため、理論的にはIndex Cessation Eventが発生した時の収益インパクトはそれほど大きくならないはずだが、ここで損が出ないよう引き続きモニターしていく必要があるだろう。

BLOOMBERGがLIBOR代替指標構築を発表

これまでAmeriborなどのクレジットスプレッドを加味したLIBOR代替レートについて紹介してきたが、新たにBloombergが指標作成に名乗りを上げた。

どのような指標になるかの詳細は明らかになっていないが、BYIと似たようなものになると報じられている。米国当局がSOFR以外の独自の指標の利用を妨げるものではないというアナウンスもあり、この分野の競争が激しくなってきている。

相変わらず米国にはビジネス機会とみれば様々な企業が競い合うダイナミズムがある。CCPもCME、ICE、Nasdaqなどがあり、SEFも乱立している。英国やEU、日本においては、このような動きはほとんどみられていない。どちらが良いのかはよくわからないが、様々な参加者が切磋琢磨して市場を作り上げるのは悪くないことなのだろう。