FVAはトレーディング損益か?

Risk誌にFVAは通常の損益ではなく、その他の包括利益(OCI: Other Comprehensive Income)に入れるべきだと意見が紹介されていた。3月に海外大手銀行が巨額のFVA損失を出したことも影響している。

FVAの会計計上方法

FVAをヘッジするのはかなり難しく、本当にヘッジになっているかどうかもよくわからないので、個人的には賛成である。そもそも、FVAの計算方法には確立した方法がなく、自らの社債スプレッドを使って計算しているところもあれば、業界の平均スプレッドのようなものを使っているところもある。

計算方法が違う以上、これを変更すればヘッジ量も変わる。つまり経済的に必要なヘッジというよりは、会計上の損益変動を減らすためのヘッジとなっている。同じ理由からストラクチャードノートのDVAがOCIに移ったことを考えると、FVAも同様の扱いにするというのは理にかなっている。

FVAのヘッジ

FVAを競合他社の社債やCDSでヘッジすることも可能だが、そもそもこれにどこまで意味があるのかよくわからない。カナダのようにFVAヘッジを市場リスク資本計算から除外するような措置があれば話は別だが、このヘッジは結局マーケットリスクキャピタルを使うことになるので、資本規制上も望ましくない。

FVAの正確性

そもそも日本ではFVAを計上しているところは一部の証券会社にとどまっており、その意味では収益に影響を及ぼしていない。OCIにすらレポートされていないということだ。海外でも、どこまで真面目にFVAの計算を行っているかもよくわからず、個人的にはかなり保守的にレポートする銀行とそうでないところの差が非常に大きいように感じる。こうしたスタンスの違いで損益変動が大きく変わるというのは、やはり問題なのではないかと思う。