米国リスクフリーレートであるSOFRリンクの初のスワップションが取引されたことがSDR(Swap Data Repository)上で確認されたとRisk.netが報じている。これでLIBOR改革がまた一歩進むことになる。SOFRのボラティリティマーケットは事実上存在していないため、既存のレートからの類推でプライシングしたのだろうが、ディーラー間ではなくGSとバイサイドというところも興味深い。10年SOFRスワップ参照の1年及び2年オプションだったようで、報告しなければならない$170㎜基準を超えたサイズの取引のようだ。
CMEとLCHは10月16日及び17日にディスカウントレートFFからSOFRに変更することになっているが、それ以前にLIBOR参照で取引されたスワップションがどのように扱われるかに注意が必要であるため、SOFR連動のスワップションのニーズは高まっていくものと思われる。
CMEやLCHで清算された取引はその時点で価値が変更され、現金で差額決済を行うとともに、FFとSOFRのベーシスリスクヘッジもCCPとの間で行われる見込みだが、相対で取引されているスワップションについては相対での決済となることが想定される。10/16-17より後にスワップ決済となるスワップションはCMEやLCHでクリアリングされることになり、現金決済のスワップションの場合もその時点でのCCPのDiscout Rateで割り引かれた現金決済となる。そこで生じるValuationの差については当事者同士で合意しなければならないが、これには大きな混乱が予想される。
米国のLIBOR改革を引っ張っているARRCが、今般この際にどう市場慣行を作るか意見募集を始めたが、コンセプトとしては簡単だが、実際にどのように評価額の差額計算を行うかまでは決めることが難しいのではないだろうか。円の場合は割引率変更はないものの、オペレーション面で何らかの影響があるかもしれない。特に、LCH UnderlyingのスワップションとJSCC Underlyingの差が気になる。いずれにしてもまずはARRCの議論を見守りたい。