米国のハイイールド債価格が急激に下がるとMoody’sが木曜に警告を発している。2019年の価格上昇によって、企業業績がそれほど好転しない中、リスクに応じた価格が適正価格を超えたという主張だ。確かに、ここまで価格が上昇し信用スプレッドがタイトになってくると、一たび信用不安が起きたときには激しい価格の下落が起きる可能性は高い。あらゆる信用リスクモデルからしても、現在の価格は正当化できないほどに上昇している。
ただ、こうしたモデルの問題はそれがいつ起きるかを予想できないということにある。あらゆる金融商品の価格は、ある程度需要と供給によって決まり、例え価格が不当に高かったとしても需要があればその価格が下落することはない。そして社債保有者が不安に駆られると理論価格を超えて価格が下落する。
現在のように金融緩和でじゃぶじゃぶになった資金の行き場がなくなっているときは、どうしてもこういったマーケットに資金が流れ込んでしまう。その意味からすると、今しばらくはこのままの状態が続く可能性も高いものと思われる。
それよりも心配なのは、中国、南米等のドル建て債券ではないだろうか。ハイイールド債の発行額はこの5年で倍増したが、その多くは中国企業によるものだ。今年に至っては半分くらいが中国のものとなっている。アジアのハイイールド債は未だ7%を超える利回りを出しており、資金流入が継続している。来年は欧米のファンドがアジアのハイイールド債への投資を増やすという声もよく聞かれる。
当局や格付機関からの警告にも拘らず、しばらくは社債市場のバブルは継続するような気もする。