欧州のCVA Exemptionは継続されるか

先週4日にEBAからバーゼル3が銀行に与える影響についての分析が公表された。2022年1月の施行により、全般的には23.6%の所要資本増加ということだが、これは既存のCVA Exemptionが継続するという前提の下での結果となっている。この免除がなくなった場合の試算結果が本文の32ページに記載されているが、G-SIBの銀行にとっては、CVA RWAが622%跳ね上がるという試算になっている。全般的に規模の大きな銀行ほど増加が大きく、小規模な銀行の場合は102%増となっている。

銀行全体では免除がなければ578%増となるところが、免除が続けば140%にまで下がるというので、これは非常に大きな違いだ。

したがって、このExemptionを継続すべくロビー活動が続けられている訳だが、今回のEBAの論調では、国際的なCVAの慣行に合わせるためにもExemptionを徐々に外していきたいという意向が読み取れる。これまでは、エンドユーザーに対するスワップのプライスが悪くなるという論点から、慎重に検討が続けられてきたのだが、さすがにEUだけが免除され続けるというのは難しくなってきているように思う。おそらく時間をかけて徐々にExemptionをなくすという方向で話が進んでいくのではないかと思われるが、そうなると欧州銀行のROEに対しては、かなりのインパクトが出てくるのではないだろうか。今後も欧州系のリスク削減がどこまで進むのかが注目される。

参加者破綻時のCCPのSITGの増加が求められた

EUから先週水曜日にCCPの参加者破綻時の損失負担についての新ルールが公表された。まだ正式決定という訳ではなく議会承認等が必要だが、今後のCCPの破たん処理の在り方に一石を投じるものになるだろう。先般のJPモルガンやBlackRockが提案していたペーパーの通り、参加者の清算基金等に手を付ける前に、まずはCCPに負担をさせ、CCPのSkin in the Gameを増やすという方向性だ。

これによってCCPの拠出額は資本の50%にまで倍増する。実際にCCPのルールが変更されるまでにはまだ数年かかるだろうが、今後のCCPの参加者破綻処理の在り方に大きな影響を与える可能性がある。