米国レポ市場で米銀のプレゼンスが上がってきた。レポといえばSLRなど規制の影響で米銀のプレゼンスが金融危機以降小さくなっており、BNPやCSなど欧州系やカナダ、日本の銀行の独壇場だった。しかし、欧州当局も四半期末のみにポジションを落として規制比率を良く見せようという動きをWindow Dressingとして批判し始めたことから、米国規制のように期中平均を使うような方向へとシフトしてきた。
日本国債の取引は邦銀のシェアが高いというのと同じように、米国債なのだから米銀のシェアが高いという、通常の状態に戻ってきたように思う。規制のLevel Playing Filedが達成されつつあるのかもしれない。OFRのデータを見てみても、今年の1月からの米銀の躍進が目立つのが確認できる。
Risk.netは別のデータソースを使って、レポのヘアカットについて興味深い分析をしている。このヘアカットは、OTCデリバティブ取引の独立担保額やInitial Marginのように、市場変動に備えて多めに担保を取るために使われる。資産の価格変動が激しければ、このヘアカットが大きくなる。通常はヘアカットが5%であれば価値が100の国債に対して5のヘアカットを引いた95が貸し出されるのだが、Risk.netの記事はこの95をヘアカットと呼んでいるようだ。
ファニーメイやフレディマックが発行する住宅ローン担保証券のレポに対して、JPMが平均(実際はメジアン)53%の「ヘアカット」を取っていると試算している。これは米国債で一般的に使われる102%よりは低いとのことだが、若干理解しにくい。おそらく100の担保に対して53を貸すということなのだろう。同じレポに対してBoAは102%のヘアカットを使っているとのことで、これは米国債で一般的に使われるヘアカットと同じで、102の担保で100貸付をするということものである。
ヘアカットの分析については興味深い示唆が含まれていると思われるが、データの特質をもう少し理解してみたい。いずれにしても米系がレポのシェアを取り戻しているのは興味深い。最近ではSLRからストレス資本へと重要性がシフトしており、SA-CCRの導入も行われた。これによってレポビジネスの資本賦課が下がっているのかもしれない。あるいは欧州銀に対する資本規制が厳しくなってきたという側面もあろう。しばらくこの流れに注目してみたい。