米上院議員が米国投資家が日本のJSCCにアクセスできるようにすべきとのレターをCFTCに送っている。日本円の金利スワップの清算を認めることで、米国の顧客の取引コストとリスクを軽減することができるとしている。特にJSCCスワップを取引できる能力の重要性が経済的に増しているとも書いているが、これは日銀の政策変更によって金利変動が大きくなっていることを指しているのだろう。
今回のレターを送ったBoozman議員は以前にも同様のリクエストをCFTCに出しているが、CFTCのBehnam長官は議論を約束したものの、その方向性については、明確なコメントはしていなかったように思う。別の資本市場規制委員会からも同様なレターが送られており、ついに米国内の意見がまとまってきたように見える。JSCCとしても長年地道に会話を続けてきたのだろうが、やはりユーザーである資産運用会社などの米国投資家からのリクエストに、米上院議員からのサポートが加わるとなると心強い。
他に正式にDCO登録をしているCCPがいる中、Exempt DCOのステータスでJSCCだけが認められるのはおかしいという意見も出ていたが、日本の倒産法のもとでは、どんなに努力をしてもDCO登録はかなり困難のように思える。
業界のためには、垣根なくスムーズな取引が行われることが望ましく、そうでないと流動性が分断してしまう。そもそも日本円金利は2種類のTIBORがあったり、様々なベーシスリスクが多く、海外参加者からはトリッキーなマーケットとみられていた。しかし、LIBORもTONAに移行し、ZTIBORもなくなるため、少し流動性が集中してきた。LCH/JSCCベーシスの変動も少なくなれば、さらに流動性が上がる。流動性が上がると、市場の厚みが増し、極端な市場変動も起きにくくなるだろう。
トランプ政権の発足とそれに伴う人事変更による不透明感は残るが、是非とも不必要な市場分断が少なくなることを願いたい。規制による市場分断は、百害あって一利なしだと思う。