決済期間短縮化がグローバルスタンダードに

欧州も決済期間のT+1化に向けて動き始めた。この度、ESMAから、2027年10月11日がT+1化のターゲットとして示された。9月にアナウンスをした英国に合わせたものと思われる。

11月や12月だと休暇や年末作業で忙しくなるため10月を選んだようだ。大抵の金融機関は週末にシステム更新作業を行うため月曜が選ばれることが多いが、四半期末初めての月曜は避け、2週目の月曜が選ばれた。こうなるとアジアが最初に影響を受けることになるが、これはいつものことである。これに応じて、関連する決済関連の法律やガイドラインの更新が行われるとのことだ。

米国のT+1化が終了していることもあり、同じような作業になるためそれほど大きな混乱にはならないものと思われる。米国と欧州は事務フローがかなり似通っているので、日本や中国、インドといった国でプロジェクトを立ち上げるのに比べると標準化や自動化も進んでいるため、作業がしやすい。

またこれに併せて一連の事務フローが変わることになるが、一層システム化、自動化の流れが加速することになる。一昔前であれば、顧客の様々なニーズに細かく応えることに重きを置いていたこともあったかもしれないが、昨今では、一律同じ事務フローで、標準化されたプロセスを自動的に行うことが最優先されるようになっている。そして、できるだけ人の手を介さないような事務フローが求められる。

システムコストはかなり大きくなってきたが、その分人件費が削減されているのと、何と言っても人為的ミスが減ってきているのが大きい。規制も極力システム化、自動化を促進するようなものが多くなっているので、金融はますます装置産業化してきたが、ちょっとしたトラブルが莫大な影響を及ぼすこともあるため、この流れは変わらないだろう。

日本には。あまりSTP化を促すような規制はないのと、顧客のカスタマイズ要望に応えなければならないことも多いため、自動化の進み具合は若干遅い。システム開発に莫大なコストをかけるよりは人海戦術で対応しようというケースも多いように思う。

ただ海外のシステム化の動きを見ていると、取り残されるリスクもあるので、人が行ってきた作業のシステム化をもう少し進めていった方が良いように感じる。