欧州300億円規制は邦銀に影響を与えるか

10月末にアナウンスされたEUの資本規制改正案が邦銀の海外戦略に影響を与えるとRisk.netで報道されている。EU域内に支店を持つ銀行の資産が300憶ユーロを超えた場合、EU市場にシステミックリスクがあると判断されれば、事業再編を迫られ、必要な場合は現法設立が求められるというものだ。また、資産50憶ユーロ以上の場合、LCRを含む追加的な流動性要件に従う必要があるという。

300億ユーロを超えているのはSMBCだけとのことだが、その他の銀行はこの300億を意識して事業展開をせざるを得ないという報道内容となっている。

ただ細かくないようを見ていくと、それほど負担が増えるようなものには見えない。EUの専門家からも、それほど大きなインパクトがはないだろうというコメントも出ている。何となく面倒だからEUでのビジネス拡大を躊躇するという影響はあるだろうが、自国に進出する金融機関に追加規制をかけるのはどこでも同じである。米国はもちろん、アジアの国々でも現地通貨建ての流動性確保の要件など、追加規制は珍しくない。

日本で活動している海外金融機関を見ても、ほとんどが現地法人を設立し、登録金融機関または金商業者として登録し業務を行っている。以前は便利だった支店形態は、規制強化によってどんどん困難になっている。米国にもSMBC CapitalやMizuho Capitalいった現法は既に存在しているので、今後は現法による海外展開というのが中心になっていくのだろう。