欧州がバーゼル3最終化を2026年1月に延期

予想通りではあるが、6/18に欧州がFRTBの施行開始を1年延期すると発表した。カンファレンスのkeynoteスピーチの中でコメントされているので若干回りくどい言い方になっているが、スピーチ後半に差し掛かったところで、米国が2026年1月までにバーゼル3最終化を行う可能性は極めて低いと述べており、これを理由に2026年1月へと1年の延期を決めたとのことである。

資本規制によってビジネス環境が大きく変わるようになっていく中、タイミングがずれることによって競争上大きな影響があるため、ある意味当然の結論と言えよう。これを受けて、スイスなどでも延期を求める声が上がっており、ROEをあまり気にしないカナダや日本だけが先行適用している程度になっている。

それにしても、海外では日々取引を行う際にCapital Costを非常に気にするようになってきている中、日本の状況には少し危機感を覚える。CVAもそうだったが、当初証拠金のコスト、その他ファンディングコスト、Capital Costとなどが、すべてトレーダー毎に日々Allocationされるのが普通になっている中で、これをどんぶり勘定で管理しつづけていると、株価が上がっていかないのではないだろうか。また、こうしたコストが高い取引を押し付けられてしまう可能性もある。

当初証拠金などはグループ全体でIM Thresholdを加味しながら最適化するようになっているのだが、異なるEntityにまたがる全体的なリスク把握が、日本ではあまり重視されていないように思える。現在盛んに行われるようになった各種最適化についても、日本では元本のコンプレッション程度にとどまっている。この辺りを進めていかないと急速に海外に後れを取ってしまわないか心配である。