市場の楽観論と現実の乖離

NYSEがトレーディングフロアを閉鎖してから2か月経ち、4人に1人ではあるが、人がフロアに戻り始めた。NYでは、交通量も増えレストランの予約も増え始めたようだ。3月後半以降の株価上昇は、このようなセンチメントを表しているのだろう。米銀の収益は今四半期も好調とのニュースが出始め、金融市場には楽観ムードが漂っている。

とは言え、今後企業倒産が増えることは確実であり、失業率も上昇し、旅行や映画などの娯楽がすぐに元の様に戻るとは思いにくいため、行き過ぎた楽観論が市場を支配しているような気がしてならない。周囲の市場う関係者もほぼ同じような警戒感を持っているため、この株価上昇はどこか心もとない。

FTに紹介されていたエコノミストの予想によれば、航空業、ホテル、娯楽施設は以前の50%-65%の稼働率と予測しているが、不動産、ヘルスケア、建設、いわゆる士業と言われるプロフェッショナルサービスなどは100%戻るとのことである。たが、この数か月間レストランに行かなかったとは言えそれを補うほどに食べまくることはできないし、長らくしていなかった散髪をこれから週に一回にするということは起きないだろうから、全てのサービス業が戻るとは思えないし、レストランなどはかなりの数が廃業に追い込まれるだろう。

また、過去の疫病の事例を見てみると、一度で終わったことはあまりなく、第二波、第三波が来るのが普通である。そして第二波が毒性が強くなることも多いため、まだまだ完全に楽観できる状況にはないと思う。それよりか、リモートワークの拡大やオフィススペースの減少など、産業構造を変えてしまうような変化が起きることになり、以前に戻るというよりは違う世界が来るということになるのだろう。

このようなセンチメントが支配的な時には、何らかのニュースをきっかけに市場が大きく変動することが多い。引き続き注意深く市場を見守る必要がありそうだ。

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