米国大統領選挙の混乱が続いているが、それでも共和党が上院を支配しそうな勢いになってきた(追記:結局バイデン候補当確)。これにより大胆な景気刺激策を打てなくなるという憶測が強まった。金融業界にとってどのような影響があるかと考えてみると、まずはトランプ政権下で35%から21%まで下げられた法人税だが、バイデン政権になればこれを28%まで戻すというのが公約となっている。しかし上院を共和党が取れば、それほど簡単にはいかないかもしれない。
民主党が上院を取れば、銀行に対して厳しい立場を貫くウォーレン議員が財務長官ポストの有力候補だったであろう。しかしマサチューセッツ州にいる共和党知事がこれに反対することが予想される。日本の報道では金融規制強化が進むのではという報道が多いようだが、ある程度の増税のリスクはあっても金融規制が突然強化されるような方向にはならないように思える。
もともとバイデン氏はデラウェア州出身で、デラウェア州といえば様々な金融法人が設立されている州として有名であり、金融の重要性が高い州である。
そうなるともう一人の候補であるブレイナード氏のスタンスも重要だが、いずれにしてもFRBは民主党寄りの政策を取るようになるのではないかという声が多い。銀行のストレステストの緩和に反対し続けてきたブレイナード氏の意向が反映されるとなると、資本バッファの積み増しが要求され、銀行の資本コストは跳ね上がる。あまり金融規制に対して強い声を上げている印象はないものの、金融危機後に導入された銀行規制の緩和にはいつも反対票を投じているという印象がある。
総じてみると、大きく規制緩和が行われるような可能性は低いが、結局規制緩和を訴えたトランプ政権下でもそれほどの緩和はなされていない。そう考えると今までの状況が続くということになるのだろう。