欧州の天然ガス価格の乱高下により巨額のマージンコールが多発し、新規取引も困難となっているが、これを受けて、欧州委員会ではあらゆる策を講じようと日々議論が続けられている。
欧州天然ガスのメインの指標はTTFだが、この価格の動きに前月対比で上限を設けようというのが主な案だ。上限や期間は当局が状況に応じて変更できるようになっているようだが、当然現場からは反対意見が多い。一日だけ上限を設けて次の日にそれを解除する方法だと変動が激しいので、一旦発動したら2週間程度はその上限が適用されるという案のようだ。
それ以外にもTTF以外の新指標を作成しようという案も出ている。こちらもある程度価格統制のされた指標のようだ。
いずれにしてもあまりのマージンに耐えかねて多くの市場参加者が取引所取引から相対のOTC取引に移っているのが問題だ。欧州エネルギー取引所の担当者からもこの点が最大の懸念として挙げられている。市場変動が激しいのだからマージンを上げるべきというのも当然なのだが、それが限度を超えるとマージンのない取引に移っていくというのも自然な流れである。
たとえばドル円の場合は150円までの円安が進行し、かなりの変動があったが、介入によってそれ以上の変動が抑えられた。これもある意味一つの価格統制なのだろうが、今のところ効果があったように見える。日銀の利益も相当額に上っていることだろう。当然複数の国がからむので調整は難しいが、欧州ガス価格も、ガス代補助を出すのと、介入によって価格を抑えるのとどちらが良いのかという検討をしても良いかもしれない。