バーゼルのCentral Bank Survey 2025‐金利編

BISのTriennial Central Bank Surveyの金利系商品についての統計を見ている。まずは全体像から。金利商品は2019年のFRAの急増がアノマリーとなっているが、それを除けば順調に右肩辺りで成長しており、特にここ3年の伸びが著しく、トータルで3年前対比約60%増となっている。2019年のFRAはよく覚えていないのだが、まだ4月だとコロナ前なので、3月のFOMCで利上げ収束観測が出てFRA-OISスプレッドがタイトになった時期だろうか。

為替と異なるのは通貨ごとの取引量である。昨今ではUSDではなくEURの金利商品が最大の取引量となっている。特にこの3年でEURは約2倍に増えている。さらに顕著なのが日本円で、なんと7.8倍へと急増し、AUDを抜いて第四位となった。他のCCPのデータなどを見ても同じような伸びが確認できる。GBPを抜いて三位になるかもという期待もあったが、意外とGBPも健闘しており、約3倍と取引量が増えている。

取引主体別でみると、圧倒的にその他金融の割合が大きく、市場全体の75%を超えている。金利スワップに関しては、既に銀行中心の取引から、マーケットメーカーやヘッジファンド、バイサイドへと主役が移っている。

取引地域についてみてみると、圧倒的に英国が強い。やはりBrexit後も金利に関してはロンドンの地位が強い。日本も3.5倍になっているが、かなり小さく、オーストラリアやシンガポールにも及ばない。ドイツが地味に2.4倍に伸ばしているのも注目だ。

YCCの下で日本円金利トレーディングは終焉を迎えたという声も多かったが、政策変更によりようやく日本円本来の姿に戻ってきた。海外からは開かれていないというイメージが付きまとっているが、資産運用立国を目指す金融庁の後押しもあり、注目度が高まり、日本への旬出も少しずつ増えてきた。他国の状況を見ていても、やはりこうした市場づくりには国としての後押しが欠かせないのだろう。