バイデン大統領で何が起きるか

ウィルス感染拡大、人種問題への対応の影響で、トランプ大統領の支持率が急落し、バイデン大統領のシナリオをマーケットが織り込み始めた。直近の勝利確率予想もトランプ氏が23%、バイデン氏が59%と大きく差が開き始めた。3月前にはトランプ再選の声が過半数を超えていたのと大きな違いだ。実際の世論調査による支持率調査よりも、賭けごとに使われる確率の方が大きく差を広げているのも興味深い。

マーケットへの影響としては、トランプ減税や規制緩和の揺り戻しが来ることに警戒が必要だろう。35%から21%へと引き下げられた法人税も28%程度に上がるのではないかとの予想もある。

ベーシックインカムの議論も盛んになっているが、バイデン氏の掲げている15ドルの最低賃金も企業にとっては影響が大きい。それにしてもバイト代時給1650円ともなると日本だったら飲食業界にとって死刑宣告になるかもしれない。健康保険やクリーンエネルギーなど、経済優先の政策からの転換が起こることも予想されるため、米株にとってはマイナス要因が多いと捉えられるのも当然だろう。

民主党は共和党に比べると経済優先というよりは、コロナ対策等国民の健康を優先すると思われるので、経済対策も更に大規模なものになる可能性がある。こうなると当然短期的にはドル売り、米株売りの動きが出てくる。しかし、政府が更なる景気刺激策も併せて使うとなると、国や中央銀行の政策に振らされるマーケットが本当に大きく下落するかは不透明だ。いずれにしても財政状況の悪化は避けられないが、ぎりぎりのところまで支え続けて最後に一気に下落するというシナリオを、数年後には想定しておいた方が良いのかもしれない。もっともその影響は新興国やEU弱小国に最初に現れるだろうが。

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