金融規制に対する財務省の影響が強まる

関税協議でも何かと話題になるベッセント財務長官だが、金融規制においても重要な役割を負っており、先月から始まったFRB、FDICなどの監督機関との非公式協議において、中心的な立場にある。

4月9日にはストレス資本バッファや地銀に対する過度な規制について再検討する旨の発言をしている。また以下の通りレバレッジ比率についてもコメントしており、この文脈から察するに行き過ぎた規制に懸念を表明しているように見える。

I have previously raised concerns about whether the leverage capital restrictions are too frequently binding.(中略)It is time that we step back and re-assess these and other costs and benefits of the liquidity framework.

同様のコメントは3月6日にも出ており、これ以外にも様々な場所で同様の発言をしているようだ。この時はSLRがバックストップというよりは最大の制約になっていると明確に述べており、これはこのブログでも何度も主張してきた業界の意見と全く同じである。

おそらく金融機関関係者とのパイプも強いだろうから、業界寄りの議論がなされるものと予想される。これまでは、ゲンスラー氏のキャラクターもあっただろうが、CFTCやSECなどが規制改革を引っ張ってきたように思うが、今後は財務省の影響力が強くなることが確実視されている。

トランプ政権の要人の中では、かなり常識人なので、関税交渉など様々な分野で引っ張り出されて多忙になることが予想されるが、何とか市場の安定化のためにも頑張ってほしいものである。