LIBORからのシフトに伴う通貨スワップに関する質問が多くなってきた。ドル円の通貨スワップで言えば、JPYのレグだけ今年末でTONAに変換され、USDレグは2023年6月に変換されるということになるかということなのだが、確かにFallbackまで待てばそうなる。
この過程では、TONA vs USDLIBORという通貨スワップができることになる。Risk.netの記事では、このようなスワップは、単にもう一種類のベーシスが生まれるだけで、トレーダーとしては特に問題ないというコメントが紹介されていたが、それでもやはり厄介だ。やはり事前にTONA vs SOFRのスワップに一度に変えてしまう方が、オペレーション的にもリスク管理上も簡単である。
DTCCに報告されているRFR同士の通貨スワップの取引量もまだ極めて限定的である。今年に入ってから62取引しかなく、円については6取引である。とは言え、この4月からGBP LIBORの新規取引が奨励されなくなり、USD LIBORは確か7月から、JPY LIBORは10月から同じ状況になるので、徐々にRFRの流動性も上がってくるだろう。流動性が上がれば、一斉にRFRに変換してしまおうというニーズも増えてくることが予想される。
当然LIBORリスクをヘッジしている一部のものはLIBORのまま残るだろうが、ブローカーマーケットの主流がRFRに移れば、b/oもRFRの方がタイトになっていくだろうし、自然のシフトが進んでいくことが予想される。
問題はいつどのように相対での交渉を始めるかという点だ。ディーラーは数多くの取引を抱えているので、数か月の間に多くの取引を変換することが難しくなってくる。オペレーション的には徐々に慣れてくるだろうが、最終顧客に対する説明や個別対応が難しくなる危険性もある。海外では極力マーケットスタンダードの形に持っていこうとするのが通常であるが、日本の場合はオペレーション、システムの制約から、いつものように支払日等で特殊対応が必要になるかもしれない。こうなると期限内にすべてのスワップを変換するのはかなり困難になるだろう。
おそらく海外では7月から変換が進み始め、日本では10月以降から移行が本格化するという感じかと思う。ただしそうなると10月は忙しくなり結局間に合わず、JPY LegだけがFallbackしてしまうスワップが多くなるというのが、残念ながら現実的な予想なのかもしれない。
よく日本は、かなり早い段階から細かく勉強をする人が多いものの、お勉強どまりでその後の作業が進まず、最後の最後で駆け込みで何とかしようとするものの、各種制約が大きすぎて頓挫すると言われることが多い。海外のメディアでも実は日本のLIBOR移行が最も問題なのではないかという記事が出ていたが、何とか汚名挽回と行きたいところである。