米国証券決済のT+1化がついに始まる

1年以上にわたって準備してきた米国の証券取引の決済期間のT+1への短縮化が、ついに来週火曜(5/28)から始まる。メディアではそこそこ騒がれており、各社オペレーション部門でも、かなりの時間を割いて準備が進められているが、フロントのセールス、トレーダーの意識はそれほど高くない。各社ともトレーニングは実施しているので、これが起きることくらいは認識しているだろうが、今一つどういったインパクトがあるか計りかねているようにも見える。

時差の関係するアジアでは、フェイルが増えるといった直接の影響に加えて、ストックローンや為替取引でスプレッドが拡大するといったコスト面でのインパクトがあるかもしれない。比較的手作業の介在する証券貸借取引などでは、オペレーションの混乱を避けるため、一時的に株を貸すサイドが若干取引を手控える可能性もある。つまり、株の空売りが減ることになる。最終的には自動化を進める動きが活発化するのだろう。

フェイルの件数については、6/15に公表されるSECのフェイルレポートが重要だ。また5/31のMSCIのリバランスで混乱が起きないかどうかにも注目が集まる。為替取引では、流動性の落ちるNY時間引け後、つまり日本時間の早朝に取引量が落ちないか注視していきたい。CLSの決済締めであるNY時間午後6時前後も重要な時間帯だ。特に金曜の引け後は日本やアジアがすでに土曜で動いていないため、流動性は極端に落ちる。月末でもあり、MSCIのリバランスの時期も近く、前日は米国メモリアルデーの休日にもあたるので、来週火曜は注目だ。

とはいえ、ここまでオペレーション部門で準備してきたので、パニックになるようなことはなく、ジワジワと変化が起きてくるような形になるのだろう。