米国の決済期間T+1化がアジアに与える影響

米国で決済期間の短縮化が粛々と進んでいるが、アジアでは時差の関係から様々な問題点が指摘されるようになってきた。社債や株式の決済を来年5月28日の期限までにT+1にすべく作業が進んでいるのだが、実は米国ではそれほど問題がなくとも、時差の関係でアジアにおける作業が最も大変になるかもしれない。

例えばアジアの市場参加者が米国債を購入した場合、次の日に米ドルの確保をしてT+2で決済してきた。これがT+1になるということは取引がマッチした日に米ドルをSame Dayで確保するのがベストである。あるいは決済前に米ドルを持っておかなければならない。日本円はおそらく大丈夫だろうが、アジアの通貨の中には、取引日のNYクローズなどに為替を取ろうと思っても、時間帯的に流動性に難があるかもしれない。

CLSのカットオフであるNY時間18時に間に合わないと相対の決済を行うしかないが、そうすると決済リスクが発生してしまう。ここまでテクノロジーが進歩したのだから、即時決済などが進んでも良いのだが、なかなかこれに関しては技術革新が起きていない。

こうした点は以前から議論されてきたのだが、アジアからの懸念が十分に認識されないうちに、米国主導でT+1化が進んでしまっているような気がする。もう少しアジアからの主張を声高にしていく必要がありそうだ。