為替スワップの取引量が拡大している

英国中銀が先週出したレポートで中小銀行やヘッジファンドが為替スワップに依存したドル調達を増やしていると指摘している。どこかで聞いたような話だが、ドル調達をFX Swapで行うのは何も日本に限った話ではないらしい。ロンドンで取引されている為替スワップのうち約2/3が一週間といった短期の取引になっているとのことだ。

先般紹介したBISの指摘と同じで、より多くの市場参加者が為替スワップによるドル調達を増やしている。FTの記事では、Currency Swapと書かれているが、ここで伸びているのはスポット取引とフォワード取引を組み合わせたFX Swapである。Currency Swapというとどうしても普通の通貨スワップを想像してしまう。

商品ごとに見ると、49%が為替スワップ、30%がスポット取引となっており、通貨別ではEURUSDが34%、GBPUSDが16%を占めている。JPYUSDは3年前の14%からシェアを落として12%となっている。

Brexitの混乱の最中に、ロンドンが為替取引のメイン市場としてプレゼンスを上げているのが興味深い。過去3年の間に一日の取引量が5割増しになっている。

為替取引が増えた理由としては、クロスボーダーのレンディングが増えたこと、取引の電子化がその要因として挙げられている。

ここまで短期の為替取引が増えてくると、ドル調達について各当局が不安視し始めるのも無理はない。米国レポ市場における混乱もこの不安に拍車をかけている。とは言え、リーマン破たん時ですら3ヶ月のフォワード為替を取ることに何ら支障はなかったので、(当然b/oは上昇しコストは上がるだろうが)ドル調達ができないほどに短期のフォワード為替市場が崩壊するとは考えにくい。ただし、ストレステストのシナリオにドル調達のリスクを加味する様になると、何等かの資金手当てをするニーズが今後は強くなっていくのかもしれない。