国際金融都市を目指す各国の市場改革

アジア各国の市場開放が急速に進みつつあり、世界の資金を巡る競争が激しくなっている。中国では、デリバティブ取引についてネッティングが認められ、Swap Connectのパブコメなどが海外投資家の注目を集めている。ロシアのような轍を踏まなければ、中国が世界においてもかなりの影響力を持つ市場に成長していくことは間違いない。これまではオンショア・オフショアの市場分断があったが、矢継ぎ早の市場開放策によって海外投資家がオンショア市場にアクセスする方法が確立しつつある。

韓国でも為替市場の取引時間拡大が予定されており、ドルで決済するNDFからのシフトが予想される。利便性向上によってKRWのプレゼンスも上がってくるだろう。RFIと言われる登録金融機関に対しては、インターバンク市場における為替取引も解放される予定だ。これにより、アセマネなどがオンショアのKRWの為替市場にアクセスしやすくなり、KRW資産への投資が増える可能性がある。NDF市場においてはKRWが最大のシェアを占めていることから、意外と影響は大きくなるかもしれない。これらの改革はMSCIのグローバルインデックスに加わる、また韓国国債がFTSEのWorld Government Indexに加わるという韓国当局の長年の悲願を後押しするだろう。

これらの市場開放策が施行されるのは来年になる見込みだが、各国ともグローバルな金融市場における地位向上に躍起になっている。特にNDFについては、国のコントロールが効かないところでマーケットが混乱する可能性も捨てきれないので、なるべくオンショアの市場を開放した方が良いというのは明らかだろう。マレーシアやインドなどその他のアジア各国でもこうした市場開放策が矢継ぎ早に検討されている。

日本においても金融庁が世界に開かれた国際金融センターの実現について各種努力を続けており、投資家の誘致、手続きの簡素化、英語によるサポート、税制の整備等で成果を上げつつある。海外の動きをみていると、今後は、アジア各国のように市場の活性化策も加え、日本の金融都市としての地位向上を進めることが重要になってくるだろう。海外当局と話をしていると、もと金融機関勤務経験を持つ担当者が多く、内容もかなり専門的になっている。日本でも一部嘱託、期間業務職員の募集を通じて専門的知識を活かそうという動きがあるが、海外の回転ドア的な人材交流が活発化すれば、日本の金融行政の高度化に資することになるだろう。