なぜ日本はシステムで海外に後れを取ってしまうのか

CMEが、Googleから10億ドルの投資を受け、データおよびクリアリングサービスをGoogle Cloudへ移行すると報じられている。データ移行は、来年から開始し、今後10年間ですべてのデータを移行する予定のようだ。自動化を進め、市場インフラの安定性を高めたいという狙いのようだが、分析ツールやリスク削減ツールなどの新商品開発も共同で行うとのことだ。さすがにCMEはいつもこうした行動が早い。

旧来型のインフラ依存度が高い取引所が多い中、今回の提携はクラウド移行に向けた第一歩になるかもしれない。各国の取引所は、巨大で効果な物理的なデータセンターを持つことが多く、規制やセキュリティの観点からクラウド移行には懐疑的な意見が多かったように思う。特に、日本の金融はセキュリティ第一であり、コロナ禍においても、リモートアクセスを進めるよりは、物理的なPCを支給するという方向が主流だった。国債入札の手続きなども未だ専用端末を使うのが主流だ。

当初Zoomのセキュリティに難があるなどという報道があったためか、日本の大手企業ではビデオ会議システムにZoomを使えるところが少なかったというのもその一例なのだろう。

おそらく銀行のシステムなども、システムの安定性、セキュリティに対する不安から、日本でクラウド移行など提案しても即刻却下されそうだが、巨大でコストのかかる複雑な既存システムをメンテナンスしていくのも予想以上に困難である。本来であれば、安価で柔軟性の高い最新のシステムに移行するのが筋なのだが、既存システムベンダーやグループ内システム子会社との関係等もあり、がんじがらめになっているのだろう。結果的にシステムトラブルが頻発したり、責任の所在があいまいになってしまっては本末転倒である。

シンガポールの取引所もAmazonとデータ移行のテストを進めているとの報道もあった。日本では関西にバックアップ拠点を置くという報道がなされ準備も進んでいるのだろうが、地震の多い日本においてこそ、データセンターのクラウド移行は適しているように思うのだが。