取引所の事業継続に関する規制強化

金融取引の電子化、オートメーション化によって、金融業界のテクノロジー依存度は急速に高まった。ここまでくるとシステム障害や停電、ハッキング等が金融市場を大混乱に陥れる可能性が高まってくる。

日本では東証のトラブルが大きなニュースになったが、実は海外取引所においても似たようなトラブルが今年は発生している。今年の後半だけでも日本のほかにドイツ、ニュース、イギリス、オーストラリアで障害が発生している。

BISでは独自の基準の策定を進めていると報道されており、各国当局も取引所のみならず、決済機関、クリアリングハウス、銀行に対する新たな基準を設けようとしている。

日本では私設取引所の利用促進を目指しているように見えるが、おそらく米国のように複数の取引所で取引継続ができる方法が望ましい。2015年にNYSEで数時間取引不能になったときも、NasdaqやCBOEなどで取引が継続され、大きな問題にならなかった。日本は東証一極集中なので、Singaporeで取引できる一部の先物を除けば、東証が止まればすべての取引が止まってしまう。また、危機時にヘッジができるよう先物の利便性を高めるのも重要かと思われる。

4月以降の緊急事態宣言以降、国債先物などの取引量が日本では激減した。市場変動から取引量が拡大した海外とは大きな違いである。国債先物の海外投資家の割合が6割を超える中、海外投資家までもが取引量を減らしたのが特徴的である。

また、今後資産運用ニーズが高まってくことを考えると、引け値を使って時価を把握するニーズが高まるので、クロージング取引が重要になる。複数の取引所を使って取引をしたとしても引け値取引だけはメインの取引所で行うことになり、取引が集中してしまう。流動性がないときなどは一日のほとんどの取引が一定の時間帯に集中してしまう。そして、この引け値取引は、ディーラーが前もってその時間で取引をするのがわかっているので、フロントランニング等の不正の懸念もある。この辺りは明確なルール作りが必要だろう。

今後数か月の間に各当局から様々なガイドランが出てくると思うが、日本でもこれに後れないよう目を配っていく必要がある。