ローンから社債へのシフトは本物か

先日に続いて社債の話を少し。円建て社債がここ2年間急増しているというグラフを載せたが、外債も同じように増えている。こちらはここ数年というよりはリーマンショック後右肩上がりに伸びているように見える。

出所:日本銀行データより筆者作成

負債に占める割合も2016年あたりから18%程度まで増えており、ローンから社債への流れが本格化している。優良企業では50年債などの発行もあり、ローンでは不可能な資金調達が低利でできるようになり、低格付債の発行も増え始めている。銀行ローンはそれほど長期のものがないので、低利のうちに長期間の資金確保をしようというニーズが増えるのも当然の流れである。日銀の社債買い入れも追い風だ。

市場と連動しているのかどうかよくわからない長短プライムレートで借り入れるよりは、低金利を活かしてマーケットレートで資金を借りたいというのは当然の流れだろう。社債投資家は銀行のようにあれこれ言ってくることもないし、多くの投資家への分散もできる。ESG債の発行も増えてくることが予想され、債券市場が面白くなってきた。

負債に占める社債の割合が増えると投資家との対話も重視するようになり、銀行だけを向いた経営というよりは、市場に評価される経営が必要になってくる。これで海外並みの収益率を重視した企業が増えてくるきっかけになるかもしれない。