レバレッジ比率規制がついに見直し?

確定情報ではないものの、SLR規制緩和の話が市場で聞かれ始めている。米国のSLRは基本的に5%を満たさなければならないが、これをバーぜると同じ3%にG-SIBサーチャージの半分を足したものになるという話だ。こうなるとG-SIBサーチャージの重要性がさらに増すことになる。

G-SIBスコアの大きいJPMなどはこの変更の恩恵を受けず最低基準が5%のままとなる見込みだ。そしてCitiが4.75%、GSとMSが4.5%、BoAが4.25%と続く。WellsとBNYは3.75%、State Street は3.5%にまで下がる。現状5%を超えている中でこの変更があれば、そこその影響があるように思う。

そもそもレバレッジ比率規制は、金融危機後に追加された規制の中でもっとも問題の大きいものだったと思う。ここでも何度も述べたが、単なるバックストップとしてなら意味があるのだろうが、これが最大の制約となってしまったため、国債すら保有することをためらうようになり、国債のレポ取引にも制限がかかった。年限の違う国債の裁定取引も難しくなり、マーケットの歪みが放置されるようになり、国債の流動性にも影響が及んだ。日本では、通貨スワップのレバレッジエクスポージャーが大きいため、通貨ベーシスにも影響が及んだ。特に国債を担保に入れいてる取引先の場合は、担保とデリバティブ取引のエクスポージャーがSLRの計算上相殺できなかったため、日本でも大きな問題となった。

当初から問題を指摘する声は多かったが、規制緩和という主張をするとマスコミから、銀行の圧力に屈したという報道がなされ、いつも振出しに戻ってしまっていた。今回はあまりそういった声は聞かれないので、ようやくまともな見直しの議論ができる機運が高まっているように思う。

今回報道された変更だと、G-SIBサーチャージが重要となるため、ますますこの削減努力に拍車がかかることになるものと思われる。最近では日本や中国の銀行が軒並みG-SIBスコアを上げてきているが、日本の金融機関も海外勢並みにスコアの削減努力をした方が良いように思う。