マージンコールが市場の最大の関心事になってきた

英金利が100bp乱高下し、マージンコールで混乱が生じた。さすがに1%を超える金利上昇が起きると、昨今の証拠金規制下では、巨額のマージンコールが起きる。変動証拠金のみならず当初証拠金も増えるので、その影響は以前にもまして大きくなる。英国の年金基金などは、金利上昇時に一部ヘッジを閉じなければならなかったようだ。実際マージンコールに応えられなくなるところが続出したために、英国当局が国債を購入し混乱を抑えにかかったという報道もある。

金利が急上昇してヘッジを外し、その後金利が急低下して下にもどったため、ヘッジされていないポジションから損失が発生しているところもあるようだ。日本の当局が良く使う「急速な市場変動は望ましくない」という言葉はある意味正しいのかもしれない。

今年はニッケル、天然ガスなど急速な市場変動が多かったが、その時にいつも問題になるのはマージンコールである。CCPや相対のカウンターパーティーに拠出するVM/IMが巨額になり、金融の安定を揺るがしている。そもそも清算集中規制や証拠金規制が市場の安定のために導入されたのだが、それが逆に市場変動を生み出しているという皮肉な状況に陥っている。こうなると、当然円金利も突然100bpとか動くのではないかという意見が海外では急速に強くなる。そのうち銀行がマージンコール向けの貸出にフォーカスし出すかもしれない。また、政府系金融機関が融資プログラムである政策科目の一項目にマージンコールを入れたりするかもしれない。

取引所取引の場合はサーキットブレーカーを発動させたり、日中の変動幅を制限することができるが、為替や金利となると、介入や資産購入が行われることになる。為替市場のように、多数の参加者があり流動性が高い市場においては、マーケットが行き過ぎれば逆をとる動きが出てくるので、G10通貨についてはある程度の抑えは効く。ただし、金利になると、バランスシート規制や資本規制のおかげで、反対方向を取れる市場参加者が限られてくるため、結局政府が何とかするしかない。

おそらく今後は、流動性を高める方向に注力し、それができないマーケットについては、サーキットブレーカーのような価格制限に頼るという方向性になっていくのかもしれない。