日本の金利マーケットの将来

米国では、ARRCがCMEのターム物SOFRを正式承認し、取引量が増えている。ディーラー間での取引禁止の解除を求める声も大きくなっており、徐々にターム物SOFRの利用が本格化しつつある。6月に再開したARRCのターム物タスクフォースで隔週の議論が続けられているようだが、まだPublicに出てきている情報はなさそうだ。あれほど銀行の信用力にリンクしないリスクフリーレートで貸し出しをするのは問題だという意見があったのだが、ふたを開けてみるとターム物SOFRのローンがかなり増えているようだ。当然AmeriborやBSBYのようなCredit Sensitiveなレートのローンも増えてはいるが、全体の割合はきわめて小さい。

SOFR先物も取引量が急増したというニュースが先ほどBloomberでも出ており、こちらも順調に取引量が伸びている。オプションに関するSOFR Firstの効果もあるようだ。

日本のターム物であるTORFは1年以上公開されているが、マーケットで幅広く使われているという話は聞かない。TONA先物に関しても話は出ているようだが、こちらも今後の展開次第だ。現状の市場の温度感を見るとTORFもTONA先物もあまり盛り上がるという兆しがない。BSBYがCCPでクリアリングされたり、ターム物や先物の取引量が増えている米国とは大きく異なる。

TOFR先物が増えたのはLIBORからの移行というのもあるが、米国金利上昇に備えたヘッジとも報道されている。金利が変動しない日本においては、金利先物はあまり意味がないのかもしれない。そう考えるとTORFもあまり広がっていくとは思えなくなってくる。単に先決め金利という意味ではTIBORも残っているので、ターム物に対するニーズがどれほどあるのか疑わしい。TFXのユーロ円金先の取引もほとんど見られない。

当然金利が動かいないのでヘッジのニーズも少なく、Buy and Holdの投資家も多いので、金利のトレーダーも業界からどんどん少なくなっている。何とか日本の金融市場を発展させようと様々な努力が続けられているのだが、金利が動くまでは難しいかもしれない。