債券の電子取引は日本よりアジアが先行

Coalitionの分析で、アジアにおける債券の電子取引が急増しているという報道があった。しかも従来から増えていたドルやユーロなどの流動性の高い債券のみならず、アジア通貨建て債券の電子取引が増えているとのことである。

2016年の調査ではバイサイドが取引する債券の14%が電子だったが、2020年末には1/3を占めるまでになっている。バイサイド同士の取引やディーラーがRFQ(Request for Quote)を送るケースも出てきている。このペースで行くとかなりの取引が電子化していくことになるだろう。

いまだ大きなうねりにはなっていないものの、日本でも日本国債の取引が徐々に電子に移行しているのを感じている。それでも日本の電子化への移行は他国に比べ後れを取っている。画面に表示されたストリーミングプライスによって取引を執行できるのは楽だと思うのだが、日本の投資家は、海外に比べVoiceでの取引を選好するところが多い。これが日本はビジネスを行うにはコストがかかる理由の一つになっている。

それにしてもここ数年でかなりの業務が人手を介さない方向にシフトしている。逆にシステムにトラブルがあった時や、特殊な処理を依頼したときの例外プロセスを作るのに多大なコストがかかるようになっているが、標準的な取引をするだけであれば、ほとんど人手を介さずに多くの業務が完了するようになった。

取引報告一つとっても、取引後たたちにパブリックに報告をしなければならないという米国規制に従うには、もはや手作業では間に合わない。一方システムが止まると規制報告ができないから取引を止めるということも発生する。日本の場合は、システム化を前提にした規制が海外より多くないので何とか手作業で対応できてしまうのだが、ここを改善していかないと、効率性において世界にどんどん後れを取ってしまうのではないだろうかと心配になる。