SA-CCR適用による自己資本比率へのインパクト

大手米銀の決算が公表されたが、各行ともSA-CCRの影響に言及している。

MSは12月1日から若干の早期適用をしたが、12月31日時点では、SA-CCRの適用により標準法におけるRWAが$23bn増加したと発表している。これによる自己資本比率(CET1)は0.82%低下した。前回決算発表時の予測が1.2%低下だったので、若干改善されている。

GSも同じく第四四半期にSA-CCRを早期適用しているが、こちらはRWAが約$15bn増加と発表している。これによって内部モデルが意味をなさなくなCollins Floorをヒットした。おそらくこれで米銀大手8行すべてがこのフロアにヒットしたことになる。

JPMは、SA-CCR適用によってRWAが$40bn増加、自己資本比率は0.3%の減少と質疑応答で答えている。

CitiはSA-CCRへのシフトで一旦資本比率を悪化させたが、最近の削減努力が実り、第四四半期に$60bnものRWAの削減を実現したようだ。12%のROWターゲットに向けかなりの努力をしたのが伺われる。

このように米銀トップは常にROEを重視して経営を行っており、その努力は数字に表れてくる。資本コストの高いビジネスからの撤退も続いており、RWAが増えればそれを減らすための努力も継続している。当然ながら、日々の取引についても資本コストを計算しながら案件に取り組むかの判断をしている。

昨今では、CVAやFVAなどの評価調整よりもKVAの方が取引制約になってきているという声も多い。こうなると、資本コストをそれほど気にかけない銀行が多い日本でのビジネスはなかなか難しくなってくる。