LIBOR改革後の金利指標

EUR/USDの通貨スワップについては、SOFR/ESTRとusdlibor/euriborの二つの選択肢があったため、昨年のRFR Firstからデータを追っていたのだが、12月後半になってほとんどがSOFR/ESTRになった。11月時点では半々くらいだったので、急速に新レートへのシフトが起きた格好だ。特に規制や当局ガイダンスがなくても移る時には移るというのがはっきりした。

あとはCAD、AUD、NZDがどうなるかに注目が集まる。カナダでは日本のTIBORと同じように銀行から提出されたデータに基づくレートであるCDORが使われている。TIBOR同様、透明性を高めるための改革が行われているが、長い目で見ればRFRであるSOFR/Corraに移っていくのではないだろうか。あとはCorraの流動性次第だが、一連のLIBOR改革の経験からすると、当局のガイダンスやディーラーの協力があれば、流動性をシフトさせるのは不可能ではないと思う。

とは言え、金利スワップに関してはTIBORやEuriborは引き続き存在感を維持しており、今後これを大きく変えるというきっかけはなさそうだ。エンドユーザーはおそらくこうしたレートを使い続けるだろうし、リクエストがあればディーラーは応じるしかない。おそらく流動性に見合ったコストをチャージすることになるので、エンドユーザーのコストは上がる。しかしこのコストが上がっているということには、あまりユーザーとしては気づきづらい。また、ディーラー間の競争が激しいので、コストを転嫁できていないのかもしれない。

ただ、ディーラーとしては取引をするベーシスが増えればそれが収益機会にもなる。一方で、リスク管理者としては、管理対象のリスクが増えるので全体としてのコストは確実に上がっている。

とは言え、全体としてみればLIBOR改革によってかなりすっきりしてきた。今まで管理をしていたTIBOR vs LIBOR、LIBOR6m vs 3m、LIBOR vs OISなどのベーシスが少なくなったからだ。日本ではDTIBOR vs ZTIBOR、DTIBOR6m vs 3m、ZTIBOR vs OISなどまだまだベーシスは多いが、最近はこの動きも落ち着いてきている。新年に入って海外から日本の円金利市場に関心が集まっているのをひしひしと感じているが、あまり複雑にしない方が流動性が上がるの。既に計画はあるのだが、DTIBORとZTIBORの共存という現在の形には早めに終止符を打ってほしいものだ。