為替ヘッジコストと円相場

Bloombergにも出ていた通り、生保の外債為替ヘッジが極端に落ち込んでいる。過去にさかのぼると2015年9月末以来の落ち込みで、今年上半期のForward、FX Swap、Optionのヘッジ比率は50%を割っている。

足元の対内対外証券投資のデータを見ていると、外債のネットの売り越し状態は収まりつつあるため、FRBの利上げ停止により徐々に外債投資が復活する可能性もあるだろうが、現在5.7%にまで上昇したヘッジコストが下がるかどうかにも注目が集まる。基本的に外債投資が戻っても、ヘッジコストの高まりからUnhedgeで持つところが多くなる可能性がある。

通常このヘッジはFX Spot取引と3か月Forwardで行うことが多いが、現在は米金利が逆イールドで、3か月金利が極めて高くなっている。SOFRに比べて米国債のイールドが上がれば、若干有利になることもあるが、それでもまだヘッジコストが高い。

また、日銀の政策変更が緩やかなものになると予想されている現状においては、米国が利下げをAgressiveに前倒しで行わない限りは、急速な円高は起きにくいと判断すれば、ヘッジを行わないというのは自然な行動だろう。

米利下げが急速に進んだり、日本で賃金上昇が確認され、日銀の政策変更のスピードが上がってくれば、円高リスクが出てくるが、現状ではこのリスクは低いとみている投資家が多いのだろう。