日本も資本効率重視に舵を切るか

JPMが資本規制強化に対応するためにローンの証券化を増やしている。住宅ローンやオートローン、クレジットカードローンなどを含むリテールローンのエクスポージャーを積極的に落としに行っている。新しく最終化されるバーゼルIIIでは、$100ドルのRWAに対して$2の資本を積まなければならない。

JPMのローン残高は$1.3tn兆を超えるが、米国証券化市場は$0.5tnに満たない。JPMが取り組んでいる証券化ディールのサイズは$62.5bnとの報道もあったので、全体に占める割合はそれほど大きくないように見えるが、今後規制強化が進むにつれ、この割合を増やしていくことは間違いない。

こうした証券化は確かに若干の資本コスト削減につながるだろうが、ここまで資本規制が厳しくなると、当然ローンの出し手は銀行から、ノンバンクやプライベートファンドに移っていくことになるのだろう。だからこそ最近では、ノンバンクに対する規制強化が叫ばれているが、巨大銀行に対する規制に比べれば、まだまだ序の口といった感じだ。

ここからは、いかに資本を効率的に使うかというCapital Optimizationが重要になっていくだろうが、不思議と日本ではあまりこういった意見は聞かれない。ROEが海外ほど重要指標となっていないのと、ノンバンクが海外ほど大きくないからかもしれないが、外資系のトレーディングの現場で毎日のように資本コストという言葉が使われている中、日本だけが別世界になっているようにすら感じる。証券化市場のサイズも小さい。

しかし、後5年もすれば日本でも資本効率向上を目指す銀行が増え、さまざまな資本コスト削減ツールが使われるようになっていくものと予想する。やはりそのためには、企画部門が全社的に号令をかけるというやり方よりは、資本コストを各トレーディングデスクに分配し、トレーダーやセールス誰もが資本コストを意識するようにしていくことが重要だろう。