SOFRベーシスの内部取引ヘッジ

ターム物のSOFRとオーバーナイトのSOFRのベーシスリスクヘッジができないことが問題になっていたが、銀行のグループ内でこれをヘッジする動きが活発になってきたようだ。

Ameriborなどのクレジットセンシティブレートが広がらない中、タームSOFRがローンの金利指標として幅広く使われるようになり、そのヘッジでターム物SOFRの固定受けの金利スワップニーズが増えてきた。しかし流動性に劣るターム物SOFRをメインにしたくない当局サイドの意向で、銀行がターム物SOFRの金利スワップを限定的にしか取引できないため、通常のオーバーナイトSOFTとターム物SOFRのベーシスポジションが大きくなってしまった。

このポジションをヘッジするために、銀行の中でローンを提供したり、ALMによってターム物SOFRの反対方向のニーズがあるグループ会社と取引をするという方法があるが、最近になってこのような内部ヘッジが増えてきたとのことである。当初このアイデアは当局から否定されていたと思っていたのだが、昨今ではこれが容認されいているようである。

ARRCのベストプラクティスでも、脚注でグループ内ヘッジの可能性についても触れられていたので、規制上の懸念点はクリアになっているようである。とはいえ、これが可能になるのは一部の大手銀行に限られ、しかも国によってはこのようなヘッジが認められない可能性があるので、問題の根本的解決にはならないようだ。やはり流動性の向上にしたがって、銀行がターム物SOFRを自由に取引できるようにしていくしかないのだろう。