LIBORはしばらく生き続ける?

先日紹介した、コロナ対策の一環で始められた米国の中小企業向けローンプログラムだが、一転してSOFRではなくLIBORベースのローンが認められることとなった。以下の英文がQ&Aに加えられた回答であるが、完全にLIBORからSOFRへの移行が進んでいない現状では、SOFRベースのローンをタイムリーに出せないという業界の声を受けて変更された格好になっている。

The Federal Reserve received feedback from potential participants that quickly implementing new systems to issue loans based on SOFR would require diverting resources from challenges related to the pandemic.

これで、SOFR+250-400bpとされていたローンが1m/3m LIBOR+300bpに変更可能となる。ただし、LIBORが機能しなくなった場合に備えたFallback文言は入れるようにとの但し書きもついている。

英国の同様のローンもLIBOR参照になっており、貸し出しについては新レートへの移行が6ヶ月延長されたばかりである。2021年末の期限に当面変更はなさそうだが、こうした新ローンが幅広く中小企業にまで広がると、新レート移行が困難になってくるような気がしてきた。当然今の段階では誰も延期の話はしないと思うが、特にコロナで苦境に陥った企業がLIBORローンを幅広く利用するようになると、1年後に一つ一つレート変更交渉をするのは、不可能なのではないか。おそらく、その頃になってもこうした企業は完全に業績回復とはいかず、そんな中で貸出条件の契約変更という慣れない作業をする余裕はなく、金融機関に対して更なる延期を求めてくるのは目に見えている。

コロナの収束具合にもよるが、来年の今頃にはLIBOR改革自体の一時的期限延長の話が盛り上がっているのでないかと思う。

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