LCHのLIBOR変換プランが明らかになった

LIBORからRFR(Risk Free Rates)への移行についてのLCHの意見募集については、一部報道を除いて詳細が公になっていなかったが、2/16にその結果が公開された。

タイミングについては、 Index Cessation Effective Dateかその直前ということで大部分の参加者の了承を得られた。そして、ISDA Fallback によってできるスワップではなく、標準RFRスワップに一気に変換されるということもほぼ決まった形になっている。

先日も解説した通り、Fallbackで発生したスワップは、標準RFR Swapとほぼ同じなのだが、計算期間等が微妙に異なっており、2種類のスワップが清算されることに対する懸念があった。市場参加者の中には、Fallback Rate RFR Swapを今から取引しようとする向きもあったらしく混乱が生じていた。Fallbackのスワップはあくまでも移行に際して一時的に発生してしまったスワップであり、今後主流になる市場標準のスワップとは異なるので、この方向性は歓迎されるだろう。参加者破綻時のオークション等CCPのリスク管理上も望ましい。

タイミングとしてはCessation Effective Dateということなので、年末になるのだろうが、過去の経験からすると、年末年始やクリスマス休暇の頃にこのような一大イベントが来るとは思いにくい。そうすると現実的には11月頃ということになるのだろうか。おそらく他のCCPも同じことをすると予想されるので、忙しい月になりそうだ。

変換方式については現金決済を好まない参加者が多く、RFRのレグに複利計算をしないスプレッドを加える方式になりそうだ。その方がCash Flowが大きく変わらず、ヘッジも継続され、リスクの変化も少ない。未実現損益が実現してしまうという懸念もあるのだろう。

オペレーション的には、一旦LIBOR Swapを解約して、新規のRFR Swapを立てることになる。つまり、既存の取引IDがなくなり、新たな取引IDが作られるということになり、法的にも旧取引が消滅し、新規のRFR Swapが一気に発生するということになるのだろう。実際はLIBORレグがRFRレグに置き換わり、計算期間や決済日は標準RFRスワップのConventionに従うことになる。LIBORではない固定金利のレグ等はそのままだ。スプレッド調整で若干残ってしまったValuationの差については少額の現金決済が発生する。

概ね市場参加者が予想していた方向性になっており、返還方法についても違和感はない。ここでCCP取引の変換方法のスタンダードが出来上がったような形になったので、他のCCPも追随することになろう。

こうなると、CCPで清算しない相対取引についても同じような時期にRFRに移行しておかないとミスマッチが生じてしまう。市場標準RFRであれば既に清算可能な取引が多いだろうから、相対取引もRFRに移行するという機運が高まる可能性がある。

それにしても日本に置いては気持ち悪いくらい様子見の姿勢が続いているような気がする。ローンと債券が第二四半期末を目途にしているが、デリバティブも時期を明示していかないと、最後の最後まで待ちたいという投資家が出てきても不思議ではない。

11月にCCPの取引が完全移行するのであれば第三四半期の始め、つまり7月くらいから流動性の移行が起きていかないと、スケジュール的にかなり厳しくなるだろう。