BREXITにもかかわらずLCHの躍進は続く

BrexitでEUの株取引が英国からEUに流れているという話をしたが、デリバティブ取引についてはやはり、それほどの変化はないようだ。先週のデータはまだ明らかになっていないが、2020年を通してみると、LCHのスワップのクリアリングは、極めて好調であった。

金利スワップをクリアするSwapClearの取引件数は、昨年640万件で想定元本ベースでは$1.1 quadrillionに上ったようだ。1000兆ドルとなると、もう何が何だかよく分からない数字だ。

同時にSwapAgentの取引量も二倍以上に増えているとのことである。このSwapAgentの内容は別途詳しく書きたいと思うが、要はCCPに清算するわけではないものの、CCPのプロセスを使って事務の効率化が図れるというものだ。CCPのようにカウンターパーティ―リスクを軽減することはできないが、担保管理や決済管理が効率的に行える。スワップションや通貨スワップ等、CCPで清算すると当初証拠金が莫大になってしまうような取引についても使えるという利点がある。

金利スワップのみならず、FXやCDSの世界でもLCHの地位は揺らぐ兆しはないようだ。やはり現物株とデリバティブは相当異なっており、先物になるともっと影響は少なくなるのだろう。

ビックバン2.0という話も英国では出ており、Brexit後の各種制約の中、金融センターとしての地位を保つために、様々な手を売ってくることが考えられる。ロンドンの金融センターとしての地位を危ぶむ記事を書いたばかりではあるものの、デリバティブや先物におけるプレゼンスを高めることによって、金融に革新を起こしてくれるかもしれないという期待もある。少なくともここまでの地位を確立したLCHの牙城を崩すのは、なかなか難しいものと思われる。